犬のアトピー性皮膚炎最新療法は”うん”を良くすること!

犬のアトピー性皮膚炎は、「ぽりぽり」という優しい掻きかたではなく、「ぼりぼり、がりがり」と傷をつけるような掻きかたをしてしまう。

「せっかく治りかけていたのに。」繰り返す皮膚の炎症が続くと、辛いですよね。

でも、つらいのは今だけかもしれません。

最新の研究により、新たな治療法が開発されており、明るい未来はそう遠くはないかもしれません。

私も重度のアトピー性皮膚炎を体験しましたが、今は犬とひとつ屋根の下で仲良く生活しています。経験から学んだことは、アトピー性皮膚炎は努力次第で、悩まない程度までは改善できます。

今回はアニコム先進医療研究所株式会社さん(代表取締役社長 河本 光祐、以下 当社)と東京農工大学さんとの共同研究の最新情報をお届けします。

カギを握るのは腸内環境うんちです

アトピー性皮膚炎(CAD)の背景:  イヌのQOLを著しく低下させる一般的なアレルギー性皮膚疾患”

“アトピー性皮膚炎、またはCAD(Canine Atopic Dermatitis)は、イヌにおける最も一般的なアレルギー性皮膚疾患です。CADが発症すると、皮膚の痒みや炎症、ひどくなると脱毛や細菌の二次感染などが引き起こされます。

その様な状態ではイヌの生活の質(QOL: Quality Of Life)を著しく低下させてしまいます。愛犬も痒いところをいつも気にします。

CADの発症には、遺伝的な要因、ダニや花粉などの環境中のアレルゲンに対する免疫の異常応答、皮膚のバリア機能の低下など複数の因子が関与します。

しかし、この疾患の複雑な病態のため、根治や臨床症状の長期的なコントロールが難しく、新たな治療方法の開発が急務となっています

腸内細菌叢とCAD: 新たな研究の焦点

腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)とは、私たちの腸内に存在する様々な細菌の集団のことを指します腸内フローラとも言います。

これらの細菌は、ヒトだけでなく動物においても、免疫調節や代謝調節など、身体の様々な機能の恒常性維持に重要な役割を担っています。最近の研究では、これらの腸内細菌叢の多様性の減少が、消化器疾患だけでなく、種々の疾患と関連していることが明らかにされています。

特に、CADに罹患しているイヌと健常なイヌとの腸内細菌叢の違いは、これまであまり詳細に調べられていませんでした。しかし、新たな研究では、CADに罹患しているイヌの腸内細菌叢の変化について、その影響と治療法についての重要な洞察を提供しています。

糞便移植(FMT)の可能性: 新たな代替療法として

“糞便移植(FMT: Fecal Microbiota Transplantation)という療法を聞いたことはありませんか?
FMTは、健常な生体の腸内細菌を、疾患を持つ生体の腸へと移植する驚きの方法です。

イヌにおけるFMTの使用は消化器疾患に限定されていましたが、新たな研究では、CADに罹患しているイヌに対して健常なイヌの糞便を用いたFMTの効果を調査し、その有効性を明らかにしました。

CADに罹患しているイヌの腸内細菌叢と健常なイヌの腸内細菌叢との違いを理解することで、FMTを用いた新たな代替療法の開発につながる可能性があります。このような治療法は、CADの複雑な病態を考慮に入れ、根治や臨床症状の長期的な管理に対する新たなアプローチを提供する可能性があります​。

CADに罹患しているイヌと健常なイヌとの腸内細菌叢の違い

CADに罹患しているイヌと健常なイヌとの間で腸内細菌叢の違いが明らかになりました。

最近の研究では、東京農工大学でCADの罹患・非罹患の診断が行われたイヌを対象に、アニコム先進医療研究所の研究施設にて腸内細菌叢検査が行われました。

その結果、CADに罹患しているイヌの腸内細菌叢では、健常なイヌの腸内細菌叢と比較して、フソバクテリア門の細菌が減少していました。

▲アトピー性皮膚炎のイヌと健常なイヌの腸内細菌叢の比較(門レベル)

これは、CADに罹患しているイヌの腸内細菌叢が、健常なイヌとは異なる特性を持つ可能性を示しています。腸内環境が違うのですね。

このことが、CADの病態にどのように影響しているのかを理解することで、新たな治療方法の開発につながる可能性があります。

FMTによる治療効果: CAD症状の改善と腸内細菌叢の多様性の増加”

糞便移植(FMT)は、アトピー性皮膚炎(CAD)を患う犬に対して臨床的に有効であることが新たに明らかとなりました。

CAD症状を示す犬に対してFMTを行った結果、その腸内細菌叢の多様性が増加し、CADの症状が改善しました。特に、腸内細菌叢でフソバクテリア門が増加しました。

これらの結果は、FMTがCAD治療の有望な代替手段であることを示唆しています。

これらの発見は、CADを患う犬の治療に新たな道を開く可能性があります。

FMT治療法の未来: CAD治療法としての可能性

糞便移植(FMT)は、アトピー性皮膚炎(CAD)を患う犬の治療法として、今後ますます注目されるでしょう。FMTは、健康な犬の腸内細菌を疾患を持つ犬の腸へ移植するという治療法です。

最近の研究では、CADを患う犬に対するFMTの効果が明らかにされ、その結果がCAD治療における新たな可能性を示しています。FMTにより、腸内細菌叢の多様性が増加し、CADの症状が改善されることが示されました。

FMTの進歩とその潜在能力は、CADの治療において新たなパラダイムをもたらす可能性があります。これからの研究で、さらに詳細な治療効果や安全性について明らかになることを期待しています。

まとめ

今回の記事では、犬のアトピー性皮膚炎(CAD)に対する治療法の可能性が広がっていることを確認することができました。

特に、腸内細菌叢の重要性と、それを操作するための糞便移植(FMT)治療法は、希望の光となっています。研究はまだ進行中であり、全ての犬がこの治療法に反応するわけではないかもしれませんが、CAD治療の新たな可能性を開拓しています。

もし、あなたの愛犬がCADに苦しんでいる場合、明るい未来は決して遠くないかもしれません。医療はまさに日進月歩。優秀な科学者たちは犬の健康のために尽力してくれています。

すべての犬が、快適で健康的な生活を送ることができる日を楽しみに待っています。

最後まで読んで頂きありがとうございます。



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