犬の去勢はするべき?手術は何歳までが適正時期なのか。

 


つぶらで純粋な瞳。
素直で偽りのない心。

「かわいい」 「ほんとーに可愛い!」
犬に触れているとき、私たちの心はとても癒されます。
この大切な動物の命を守るために。

これからペットとして犬をお家に迎える方、または、すでに犬を飼っている方。
はじめて犬を飼う方達は、次のような悩みを持つと思います。

「この子には、去勢または避妊の手術をするべきかどうか?」

するとしたら、「どのタイミングがよいのかわからないなぁ?」

手術と言うだけあって、「体にものすごく負担がかかるのでは?なんだか可哀想。」
優しい心をもつあなたなら、このように疑問を持つでしょうね。

犬は人間よりも成長速度が早いです。生まれてから、6ヶ月から12ヶ月で、オスは射精をすることができ、メスは妊娠ができる身体になります。このあたりに行う去勢、避妊手術は、身体にかかる負担が軽く、乳がんなど将来の発病するリスクも押さえる効果があります。

手術を考えている飼い主さんは、一度早めに獣医師に相談をしてみてください。

「去勢または避妊手術をするべきか。」

この問題は自分自身ではなく、他の身体に関することなので迷いますよね。
どちらにすべきかは犬を育てる環境しだいだと思います。

最終的に「あなたが責任感を持って決めた事」が正しいと思います。

今回は医療従事者である私が、犬の去勢・避妊手術に関する記事を書きました。
愛犬の去勢・避妊手術を考えている方は、参考の一部にしてみて下さい。

犬の去勢はいつ頃からはじまったのか

犬の去勢手術はとても古い時代から行っていました。記録によりますと古代エジプト時代(日本だと弥生時代)から行われていたそうです。その頃のエジプトでは、犬は人にとって、現実的な場面でも宗教的な場面(犬の頭をしたアビヌス神が有名ですね)でも、とても重要な存在でした。

現代につながる、獣医学の犬の去勢がはじまったのは19世紀半ば頃から。

1890年代(明治20年頃)のアメリカでは犬の去勢手術が法的に義務だった時期もあったそうです。

現在の日本で決められている事

日本では、犬が単独で道を歩いている姿をほとんど見かけません。そんな姿をみかけたら、一般の人でも「あの犬はどうしたんだろう?」「飼い主とはぐれたのかな?」とほとんどの方たちは、気になると思います。

半世紀前の日本は、動物愛護に対する意識も低く、かなりの数の野良犬がいました。家庭で飼われている犬も多かったのですが、犬種によっては繁殖力が強く、飼い主の責任を持たないまま野良化した犬が多かったとされています。

野良犬が人などを襲う被害もあり、社会問題にもなっていました。
そこで、法律の改正や啓発活動などの取り組みが行われ、徐々に野良犬の数を減らすことができました。
(何万頭の尊い命を奪ってしまいました。)

今では、犬の飼育管理に関する義務がしっかりと決められてます。
私たち飼い主は、人と犬が安全に暮らしていくために、いろいろと知っておくべきことがあります。

環境省からは「家庭動物等の飼育及び保管に関する基準」で以下のように告示しています。

第3 共通基準 4繁殖制限
所有者は、その飼育及び保管する家庭動物等が繁殖し、飼育数が増加しても、適切な飼育環境及び終生飼養の確保又は適切な譲渡が自らの責任において可能である場合を除き、原則としてその家庭動物等について去勢手術、不妊手術、雌雄の分別飼育等その繁殖を制限するための措置を講じること。

このように書かれています。つまり、産まれてきた子犬に対してしっかりと管理、責任が持てないのならば、飼っているペットが繫殖できないように管理しなくてはいけないのです。

産まれてくる犬を飼うことができるか、譲り受けてくれる人がいる方達などが、去勢、避妊手術を受けるべきかどうかの選択をすることができるのです。

メス犬が一回の出産をすると、平均5~10匹の子犬が産まれてきます。オスの家庭と子犬を分け合っても、現実的に飼うことは難しい家庭が多いと思います。なので、原則としてですが、日本でペットとして飼われている犬のほとんどは、生殖を抑える手術が必要になるということです。

ここからは、実際の去勢・避妊手術がどういうものかを説明していきますね。

犬の去勢手術(男の子の犬に行う)

オス犬の生殖器に行う手術。陰嚢の中にある精巣(精子や男性ホルモンを作る臓器)を摘出して、生殖機能を無くします。
全身麻酔が必要ですが、メスの避妊手術よりは短い時間(一時間ほど)で済みます。

  • メリットとしては
    ・性格が穏やかになり、他の犬や動物に対して攻撃しにくくなる。
    ・他人のメス犬を妊娠させる心配がなくなる。
    ・性的な不満からくるストレスから解放される。
    ・生殖器からの由来の病気「精巣腫瘍、前立腺疾患(シニア期に起こりやすくなる。精巣をとると前立腺は萎縮する)」や肛門周囲腺種といった病気の発生を予防できる。
    ・必要摂取カロリーが減るので、餌代を節約することができる。
  • デメリットとしては
    ・男性ホルモンの分泌が減るので、筋肉が付きにくい。骨密度が低下する。
    ・臆病、怖がりな性格になりやすい。社交性や遊びたい欲求も低下する可能性もある。
    ・ホルモンバランスの乱れにより、太りやすくなる。食事量や運動量の調整を怠ると肥満になる可能性が高い。
    ・手術のリスク、麻酔のリスクがある。

 

犬の去勢の適正時期
犬の種類や体形(小型犬ほど早い時期が望ましいとされています。)によって異なります。一般的には、成犬になる前の期間に行うのがよいとされています。

1 子犬期    生後2~3ヵ月から去勢できます。この早い時期は、手術のリスクが少なく、回復もはやいとされています。
2 性成熟の前期 生後6~1年の間 この時期に行えば、性的な行動やマーキング行動を抑えることが期待できます。
3 成犬期    成犬になっても去勢手術はできますが、手術の回復が遅い傾向があります。
性的行動の変化はあまり期待できません。

犬の避妊手術(女の子の犬に行う)

メスの生殖器は下腹部の骨盤内にあり切開が必要になりますので、全身麻酔で行います。腹腔鏡と呼ばれる細いカメラを使う場合は、ちいさな穴をおなかに3ヵ所ほどあけます。また、卵巣だけ摘出する方法と、子宮と卵巣を両方摘出する方法があります。 病気の発生を防ぐ効果でみれば、どちらも同じくらいと言われていますので、最近では、卵巣のみ摘出する方法が主流になってきているようです。

  • メリット
    ・望まない妊娠を避ける事ができる。出産のリスクを避けられる。
    ・子犬を育てるための責任や飼育費用がかからない。
    ・子犬の里親探しや、手続きをしなくてもよい。
    ・乳がんや子宮内膜症といった婦人科系の病気の発症リスクを低くできる。
    ・生理(犬は年に2回ほどおこる)によるトラブルがなくなる。偽妊娠の症状をなくすことができる。
  • デメリット

・一生妊娠をすることができなくなる。

・手術を受けることによる合併症、麻酔のリスクがある。特に高齢になるほどリスクは高まる。
・手術のあとは、しばらく安静にする必要があり、運動が制限される。
・手術のあとに痛みがある時がある。食欲不振になる時がある。
・ホルモンバランスの変化により、体重、毛の色や質、行動にも変化がみられる時がある。

犬がはじめて発情期を迎えるのが、生まれて半年くらいから。その時期が来る前に手術を行うと乳腺疾患を抑える効果があります。オス犬同様に、それぞれの犬には体調や個体差などがあるため、手術の時期は獣医師と相談することが大切です。

 

犬の去勢、避妊手術の平均費用

ペットショップで犬を買うと何十万という、結構な金額になりますよね。犬を買うときは、近々発生する手術代の費用を含めた金額も考えなくてはいけません。

提示されている金額+去勢、避妊手術代を含めた金額+その他
を計算して、無理のない範囲で検討するべきだと思います。(運命的に出会ったワンちゃんが高額だったら…頑張って稼いで行きましょう。)

それぞれの手術代は以下の通りになります。あくまでも大体の金額です。

h3去勢手術(オスの犬)
医療施設や犬の大きさにより異なります。大体の相場は

小型犬 約20,000円
中型犬 約25,000円
大型犬 約30,000円

h3避妊手術(メスの犬)
この手術も、医療施設や犬の大きさにより異なります。大体の相場は

小型犬 約50,000円
中型犬 約80,000円
大型犬 約100,000円

去勢手術、避妊手術とも、
その他に検査代、術後の抜糸代、薬代などがかかります。
また、去勢、避妊手術は保険対象外です。(自発的に行う行為だからです。)

正確な費用は、予め手術を受ける施設に問い合わせましょう。

 

まとめ

ペットとして犬を飼うと、様々な責任を持つことになります。繁殖の管理もその中の一つです。

産まれてくる子犬を育てられる。もしくは、子犬を譲り渡せるあてがある。
誕生する犬たちの大切な命を守るために、まずは、ここをしっかりと確認をしましょう。

そのような環境が用意できない場合は、ペットの犬には去勢・避妊手術を行うことを真剣に考えなくてはいけません。

手術にはデメリットもありますが、それを上回るメリットがあるからこそ、その医療行為が存在しているのです。時代が進むにつれて、安全性もより高まっています。

信頼できる獣医師に出会うためにも、どうぶつ病院の情報収集は早めに行いましょう。

人と犬がこれからも幸せに暮らせる世の中のために。

最後までお読みいただきありがとうございました。



 

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