犬がキャベツを安全に食べる方法とその効果

ペットとして犬を飼っている方々の中には、キャベツを見せると愛犬がシッポを振って「ちょうだい!」と近寄ってくる、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

キャベツはその淡い甘みと程よい苦みが特徴の、爽やかな味わいの野菜です。生の状態では、食感は「シャキッ」としていて、歯ごたえが抜群なので、一度食べたことがあるワンちゃんはヤミツキになります。

しかし、飼い主皆さんの中には、「本当に犬がキャベツを食べても大丈夫なのだろうか?」と心配に思う方もいらっしゃることでしょう。なぜなら、犬はオオカミと同じ血をひく肉食動物ですからね。

今回は医療従事者で消化器系にくわしい私が、愛犬がキャベツを安全に食べる方法とその効果について詳しく解説。キャベツの適量や調理方法、注意点などをご紹介します。

犬にキャベツを食べさせても大丈夫なのでしょうか?

一般的には、犬がキャベツを食べることに問題はありません。

ただし、好きだから、よく食べるから、といって大量に与え過ぎると、消化不良や下痢の原因になることがあります。

また、甲状腺機能低下症や尿路結石の原因になることもあります。キャベツを与える際は、それぞれのワンちゃんに適した量を与えることが大切です。

愛犬にキャベツを初めて与える場合は、少量から始めて徐々に量を増やしていくことをおすすめします。仔犬の場合は離乳の時期が過ぎてから。与える葉の部位は、農薬が少ない内側の葉が安心です。

愛犬の手が届くところにキャベツを置いておくのはやめましょう。すきを狙って「バリバリ」、「むしゃむしゃ」とまるごと食べられてしまいますので、注意しましょう。

もし愛犬がキャベツを食べた後に、下痢や嘔吐などの症状が見られた場合は、すぐにキャベツの与え方を止め、必要であれば獣医に相談してください。動物病院にかかる際には、日頃の健康状態を把握しておくことも重要です。詳しくは愛犬の体温を測る方法をご覧ください。

実は、キャベツの芯は犬にとって危険な部分です。

犬にキャベツを与えること自体は問題ありませんが、キャベツの芯の部分は絶対に食べさせないでください。

  1. キャベツの芯は消化器系に、様々な危険が生じる可能性があるからです。
    食物繊維が多すぎて、消化することが困難である。食べ過ぎると、腸が詰まり、腸が死んでしまう病気「腸閉塞」を引き起こす可能性があります。
  2. キャベツの芯は、硬くてするどい部分もあります。
    人と違って、犬は食べ物をよく噛まずに飲み込むようにして食べるので、キャベツの芯は、消化器官を傷付けてしまったり、喉に詰まらせてしまう可能性もあります。
  3. キャベツには少量の硫化物(硫化アリルのことであり、グロッコリー、カリフラワーなどアブラナ科に含まれています)があります。特に、芯の部位は割合的に多く、大量に摂取すると貧血をひきおこすことがあります。

以上の理由からキャベツの芯は、犬にとっては危険な食べ物であるため、与えるのは避けるべきです。

硫化アリルは、キャベツが傷ついたり、切ったりした際に、酵素の働きによって生成されます。茎部分が傷ついている場合、より多くの硫化アリルを含んでいる可能性があります。

どの程度の量なら犬にキャベツを食べさせても安全なのでしょうか?

犬にキャベツを与える場合、一般的には、犬の体重に対して5%以下の割合であたえることが推奨されています。

10㎏のわんちゃんで、50g以下(だいたい、一枚くらい)です。

 

犬にキャベツを与える最適な調理方法

キャベツを切って料理している途中、葉っぱの一部をそのまま愛犬に与えていませんか?

犬に生のキャベツを与えると、消化器官におおきな負担がかかります。

生のキャベツには、チアミンアーゼという酵素が含まれています。この酵素は犬にとって、消化しにくい成分である硫化水素を放出することがあり、下痢や消化不良といった、おなかの不快感を引き起こす可能性があります。

ですので、愛犬にキャベツを与える場合は、適切な調理をしてからにしましょう。
基本的には加熱調理をしてから与えます。

蒸す

キャベツを蒸して、柔らかくさせてからあげましょう。
蒸し器や鍋を使用して、5~10分間蒸すとよいです。

茹でる

キャベツをゆでて与えましょう。鍋に適切な量の水をいれます。
沸騰したらキャベツをいれ、10~15分間ゆでます。
その後、水を切り犬に与えます。

茹でることにより、キャベツにあるシュウ酸カルシウム(結石のもとになるもの)をとりのぞく効果があります。

オーブンで焼く

キャベツをオーブンで焼き、少量のオリーブオイルを加えて与えます。オリーブオイルには、健康によい脂質や抗酸化物質が含まれています。特に、犬の皮膚や被毛の健康をサポートするオメガ3脂肪酸が含まれているので、毛艶や皮膚の健康によいです。もちろん、過剰摂取はさせないようにしてくださいね。

キャベツの栄養素についてもまとめてみました。

「キャベツ」という言葉は、フランス語の「cabus(カビュ)」に由来しています。これは、野菜が早く熟すと言う意味の言葉で、野菜が緑色で柔らかく、葉っぱが締まっていることをあらわしています。

日本には、明治時代にキャベツが導入され、言葉も「カビュ」から「キャベツ」と変化したとされています。そんなキャベツにはビタミンK、ビタミンC、そして食物繊維を豊富に含んでいます。これらの栄養素は、愛犬の健康を維持するために重要な役割を果たします。

キャベツに含まれているもの

1:ビタミンCがとても多く含まれています。野菜のなかではトップクラスです。ビタミンCは、免疫力を強化したり、血管や皮膚の老化を防ぎ、美肌効果もあります。

キャベツは、古代ローマ時代からすでに栽培されていました。古代ローマ人は経験から気付いていたのかもしれませんね。キャベツが美容や健康に良いことを。

2:トリプトファンというアミノ酸が含まれています。
セロトニンという神経伝達物質の合成を促し、リラックス効果をもたらします。
睡眠を促す効果もあります。

3:胃の粘膜を保護するビタミンUが含まれています。
一般的には、「メチルメチオニンスルホキシド」という物質のことを指します。キャベツから発見されたビタミン様物質です。

4:ビタミンKは、血液の凝固を助け、骨の健康を維持します。

ビタミンUという名称自体は、アメリカの医師エロス・エメリック・ジローが提唱したものです。「ビタミンU」という物質は胃腸の粘膜を保護し、胃腸の調子を整える効果があります。しかし、一般的な栄養成分表には、まだ掲載されておらず、キャベツ100gあたりのビタミンU含有量は定量されていませんでした。



【ちょっと雑学】

ビタミンUのUは、「ulcus(アルカス)」というラテン語で潰瘍という意味。この単語の頭文字からとったようです。

胃潰瘍とは、胃の壁や粘膜が傷つき、損傷することにより、上腹部の痛みや吐き気などの症状がおこります。
文豪の夏目漱石も、この病気に悩まされていたらしいですね。(小説「こころ」という作品中でも、主人公の先生が胃潰瘍を患っていることが描かれています。)

※人と同じく、犬もある刺激により、胃潰瘍になる可能性はあります。
ストレスや感染症、薬の副作用消火器系の疾患、食事の変化などです。
胃潰瘍を疑った場合は、すぐに獣医師に相談することをおすすめします。

 

まとめ

調理方法の工夫と、適量を守ればキャベツは犬にも与えられることがわかりました。

ただし、ある犬にとっては、少量でもアレルギーや嘔吐をする可能性もあるので、キャベツを愛犬にあたえる時は慎重に様子を観ながら与えましょうね。

犬にとって、キャベツの歯ごたえと、何とも言えない食感は、一度食べるとまた欲しくなる食べ物だと思います。

普段のメインの食事は、愛犬の年齢、犬種にあった完全栄養食のドックフードなどにして、キャベツはたまに、ちょっとあたえる程度にしておくのが良いと思います。最後まで読んで頂きありがとうございます。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です