犬がレントゲン検査を受けた時の料金はどのくらいかかるの?何がわかるの?

 

「あれっ?」

愛犬の様子が、いつもと比べておかしいなと感じたとき。

例えば、

「ごはん」という言葉を聞くと、
大興奮して、よだれが出るはずなのにでない。

エサをまったく食べなくなったり、
嘔吐してしまう。

大好きな散歩に、行きたがらなかったり、
うんちがゆるい、
または、ぜんぜん出ていない。

なんだか、苦しそうに呼吸をしている。
普段と違う呼吸音がする。

こういった、いろんな症状や状態がみられた場合。

とても心配になりますよね。

あきらかに、愛犬が普段と違う状態で、
病気やケガ、誤飲をうたがう場合には
獣医の診察をおすすめします。

動物病院やクリニックでは、

動物の症状が、何の原因からなのかを調べるために
必要な検査をします。

有名な検査の一つがX線を使ったレントゲン撮影。

この検査をすることで、

いったい何がわかるのか?
費用はどのくらいかかるのか?

20年以上、救急医療の放射線科で勤務し、
ゴールデンレトリバーと、ともに暮らしている筆者が、説明していきますね。

一般撮影検査

「エックス線検査」
「レントゲン写真」を撮る検査。

X線とは

X線は、1895年にドイツのレントゲン博士によって発見される。
発見当初は、何だかよくわからないエネルギーの線ということで
未知の線、X線と名付けられ、今日までも、そう呼ばれています。
(数学でもわからない値をとりあえず、Xとする。みたいに)

ちなみに、その二年後にJ.Jトムソン博士により電子が発見されました。
人類は、ここからミクロな世界の扉を開いた。

x線は電磁波であり、物や人体を透過する作用があります。
そして、ある物質に当たると感光する作用もあります。

この原理を利用して、レントゲン写真やCTの画像が作成でき、
目では見ることのできない、内部の情報をえることが出来るのです。

レントゲン写真がなぜ必要なのか

医師が正確に、治療の方針を決めるために参考にするからです。
名医なほど、治療のシュミレーションをしっかりと行います。

この時には、予想ではなく真実の内部状態が把握できる画像が
診断に役立つのです。

犬はなにか症状がある場合、

「ここが痛い」とか、
「さっき、食べ物以外の物を、うっかり飲み込んじゃってさ~」

などと、具体的に自分の状態を人間に伝えることができません。

レントゲンではなく、被ばくをしないエコーや聴診器だけをしてほしんだけど。

聴診器は心臓の音や呼吸の音を調べるために役立ちます。

エコー(超音波検査)はある特定の臓器の断層像を
リアルタイムで診るのに大変効果的です。

ただし、これらの検査は特定な場所を診るために役立ちますが、全身の情報には弱いです。

例えて言えば、九州に台風が上陸しているのに、
関東だけの天候地図を表示しているようなもの。

時間軸を考えれば、日本列島全体の情報があったほうがいいですよね。

レントゲン写真をとれば、手っ取り早く
体内の情報を広い範囲で把握することができます。

被ばくが気になる

放射線を愛犬に当てて大丈夫なの?
ガンになったりしないかな?

ちょっと心配になりますよね。

全く害はないとはいえませんが..

検査で受ける放射線量は、どのくらいなのでしょうか?
このことを把握すれば、あまり心配しすぎなくても
いいと思います。

まず、
地球で住んでいる私たちは、
常に放射線にさらされています。

宇宙から、地表から、
人体のなかにも、カリウム40と呼ばれる原子からも
微量な放射能を排出しています。

それらをまとめて自然放射線といいます。

世界の場所により、その値はバラツキがありますが、
日本では年間で2.1mSv(シーベルト)くらいは普通にくらしていても
放射線を浴びています。

人間が胸部レントゲン写真を撮ると、
受ける被ばく線量は.0.6mSvくらい。

犬の場合でも、検査でつかう放射線の量は
心配するほどではないでしょう。

むしろ、検査をしなかったばかりに
正しい治療が受けられなかったら
それこそ後悔するかもしれません。

医療では、放射線を使ってまで、
患者に検査や治療を行うのは

被ばくをするリスクよりも、
治療により得られるメリットのほうが大きいからです。

どのように撮影するのか

動物のからだは、三次元の構造ですが、
レントゲン写真は、
二次元であらわした画像です。

ですので、基本的には二方向(二枚)の撮影をおこないます。

仰向にして正面像
横に寝かせて側面像を撮ります。

患者さんが人ならば、説明をすることで、スムーズに検査が行えますが、
犬の場合は、人間同士のように、細かいコミュニケーションがとれません。

撮影時はスタッフが抑えながら、目的の撮影体位にさせます。
検査を受ける犬は、吠えたり、暴れたりするかもしれません。
しかし、X線がでる時間は1秒間よりも短い(ミリ秒の世界)です。

慣れた撮影者ならば、一枚数分ほどで検査ができるでしょう。

レントゲン写真を撮ることでわかること

今は、レントゲン写真もデジタル化されてきています。
白黒反転機能もありますので、
ある症状が白く写る、または黒く写るという表現は適切ではありませんが、

まず、最初に表示されるレントゲン画像は、むかしと変わらない写り方をします。
例えば、骨はX線を強く吸収するので、画像では白く表現されます。

肺の状態
炎症があると、普段は黒く写る面積が多い肺は白くうつります。
また、気管支の状態、胸水、腫瘍を疑う影、などがわかります。

気胸(何らかの影響により、肺が縮んでしまう現象)の場合は、空気の体積が増えるので、
黒く写ります。

心臓の大きさ
心臓機能を評価する場合、超音波検査がよくわかるが、胸部レントゲンにより心臓が肥大しているかがわかり、循環器の状態を把握できます。

骨の状態
骨折、骨の形状、濃度がわかります。

消化管の状態
空気、腸管の形状、腸管液、便の有無。
誤飲した異物が写るときもある。
ただし、ビニールなどX線が透過してしまう物は写りにくいです。

消化管の画像はコントラストが付きにくいため、より詳しく調べる場合は、
バリウムを飲ませて検査を行う時があります。

体内の結石
石灰化したところは、X線を吸収するので白く写る。
腎結石や尿路結石などがあります。

妊娠の状態
おなかに赤ちゃんが、実際に何頭いるかを調べたりする場合
妊娠50日以降に、腹部レントゲンを撮ることがあります。

このように、一般撮影により体内の得られる情報は多いが
レントゲンだけで、
すべての症状の原因が確定できるわけではありません。

検査の料金はどのくらいかかる

日本人には健康保険の制度があり、
保険点数により医療費が決まっています。

動物医療には、その制度がなく
獣医師の診療料金は、独占禁止法により、
自由診療ときめられてます。

そのため、各診療施設で医療費が異なります。

一般撮影を行った場合の目安は
3千円から1万円程度です。

医療費が気になるのであれば、
受診する予定の医療施設に,直接問い合わせてみましょう。

愛犬にとって適切な医療が受けられるように

飼い主さんが、医療行為に納得しても
実際に受けるのはペット達です。

レントゲン撮影自体は、それほど時間はかかりませんが、
犬にとっては、とても怖く感じると思います。
飼い主さんも手伝うことが出来ないので、不安に思うこともあるでしょう。

でも、医療行為に慣れたスタッフが、安全に対応してくれますので、
安心して任せられます。

一通りの検査結果が出たあとは、獣医から説明があります。
意思决定がある飼い主さんは、愛犬からすれば医療チームの一員です。

獣医の話をよく聞き、わからないことは、とことん相談をして
愛犬にとって、最適な医療を行えるようにしましょう。

大切な家族のために。

 

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